和裁道具
先日職場の和裁士さんとお話してて、どうやってプロになったのか教えてもらいました。和裁士さんは大学や専門学校、一般スクールなどで学んでから職に就くもの、と思い込んでたけど、その方法だけじゃないんですね。

その方は50代の女性で、まず師匠のところに弟子入りして住み込みしてたそうです。
最初の1年目はみんなの食事を作ったり雑用。

2年目になると食事作りはなくなるものの、下からも上からも仕事を頼まれるようになります。

そして数年修行が続き、最後1~2年はお礼奉公って言って豪華なお着物のお仕立をされてました。バブル時代でかなり多くの仕事をされていたそうです。

着物おばさま

今の人たちはお金出して習いに行くでしょ?私達の時代はお金を出さない分、住み込みで育ててもらいお小遣いもらって最後は恩返しだったのよ。

着物おばさま

お風呂は週に2日しか入れなくて、日曜がお休み、外出は朝9時以降で届出が必要だったわ。

お小遣いを尋ねると、

着物おばさま

月に1万円。ただ外出しないから使うことないし、早く習得したかったから休みの日もほとんどこもりっきりで作業よ。二年生になれば少しアップしたかしら。

そして8年間修行し、一人立ちされたそうです。

著者 悩む

収入は大卒2〜3年目くらいの人の稼ぎと同じくらいだったそうで、当時まだまだ女性はそんなに稼げなかったんじゃないかな。
バブル時代に職業選択の自由アハハン~♪なんてCMが出て、ようやく女子の総合職への道が開けた!と言ってたはずだから…

それだけ収入良かった和裁士も、今は着物の需要が減りどんどん賃金が下がってきてるし、大手の和裁学校卒業したらまだ学校自体が呉服屋とつながってて仕事斡旋してもらえると思うけど、バブルはじけた今じゃ仕事がないそうです。

昔は和裁士の資格さえあえば男に負けない強い稼ぎになったんだろうけど、時代が変わりほんと大変。

私は中学生の時、和の職人になりたくて和紙職人や機織の仕事を考えてたけれど、親に反対され住み込みとかTVで見てで断念しました。

会社で働くようになっていつしか職人の仕事に対し「働いても海外旅行いけない、お小遣いもほとんどない、自由もない、恋愛できるの?でも収入たいしたことにもならないんでしょ?」と思うようになってしまったけど、実際やってた人の話を聞き、改めて職人さんの自尊心の高さにも納得、そして崇拝の念を抱きました。