2025年の夏前に進めていた、AIを活用したイラスト素材の販売プロジェクト。
最初の2ヶ月ほどで一気に作り上げて、あとはどうなるか放置して様子を見ていたのですが……自分の中でひとつの結論が出たので、今回はその振り返りと「次の一手」について書き残しておこうと思います。
事前のリサーチと、AI生成の壁
もともとは、Illustratorの操作練習を兼ねて始めたのがきっかけでした。
ただ、どうせ作るなら売れるものを、と思い、事前にマーケティング調査を実施。結果、あえて「ビジネスシーンで使いやすい汎用性の高いもの」を作ることに決めました。
普段、デザイン制作のディレクションや部署内の仕組み化に関わることが多いせいか、いざ作り始めると「いかに効率よく展開するか」という方に意識が向いてしまいます。
ベースのキャラクターを決め、「若手/シニア」「男女」「表情セット」「線画とカラー」など、変数で差し替えて量産できるフローを整えました。
ただ、ここでAIならではの壁にぶつかりました。同じ4人のキャラクターで「ポーズ違い」を作るのが本当に難しかったんです。
すぐに顔が子供っぽくなってしまったり、関節がおかしな不自然なポーズになったり……。
思い通りの画を出すための指示の出し直しや、プロンプトの調整にはかなり苦労しました。
iPad miniとMacを横断する制作フロー
今回の制作フローは、AIで生成した画像をiPad miniに持ち込み、Apple Pencilでひたすらなぞるトレース作業から始まります。
一般的にトレースは「ただなぞるだけで力がつかない」と思われがちですが、実際にやってみるといつもより細部をじっくり観察することになり、意外と「目を肥やす」良い訓練になった気がします。
仕上げはMacBook Airに連携して細かいパスの調整。何より、iPad miniで無心になぞる時間は純粋に楽しく、良いリフレッシュにもなっていました。
(以前こちらの記事でも書いた、あのお絵描き感覚です)
本当に提供したかったのは「編集しやすいデータ」
そして今回、私の中で一番こだわっていたポイントがあります。それは「AIで作った画像」そのものを売りたかったわけではない、ということ。
日頃からデザイン業務でイラスト素材をダウンロードして使うのですが、ベクターデータ(EPSなど)でも、線がアウトライン化されていて「線の太さが変更できない」ことがよくあります。そうすると、他のイラストとテイストを合わせにくかったり、ポーズの微調整がしづらかったりして、地味にストレスでした。
だからこそ、「線の太さを後から変更しやすい構造」や「レイヤーごとの塗り調整がしやすいデータ」を提供したかったんです。
実際のデータがどうなっていたのか、現在PIXTAで公開しているマイページでご確認いただけます。
PIXTAマイページ:Bloomund(ブルーマンド)



※残念ながらAI生成素材の取り扱い停止に伴い、2026年5月22日(金)までの限定公開となります。もしご興味があれば、消えてしまう前に覗いてみていただけると嬉しいです。
「そのまま使う」も「少し手を加えたい」も、どちらも快適にできるデータを目指して、生成した画像をもとに一つひとつIllustratorで丁寧に調整して仕上げていました。

放置した結果と、ひとつの身も蓋もない気づき
そんなこんなで、最初の2ヶ月はかなり集中して手を動かし、気がつけば100点近くの素材をPIXTAに登録。あとは市場の反応を見ようと、そのまましばらく放置していました。
……で、約8ヶ月経過した時点でのダウンロード数は「10件」。現実はそう甘くありませんでした(笑)。
冷静に分析してみると、「汎用性が高い」というのはつまり「競合が多すぎる超激戦区」なんですよね。どんなに使いやすいデータを作っても、圧倒的な差別化がない限り他の素材に埋もれてしまいます。
そしてもう一つ。私がこだわっていた「編集しやすいイラレデータ」ですが……そもそもIllustratorを使いこなせる人なら、アウトライン化されたデータでも自力で問題なく調整できちゃう人が多いのだろうな、という身も蓋もないことにも気づいてしまいました。
PIXTAの「AI素材・販売停止」と、次への迷い
そんなことを考えていた矢先、PIXTAから「AI生成素材の取扱いを全面停止する」というニュースが発表されました。
AI生成画像・動画素材の取扱い停止に関するお知らせ | PIXTAガイド
これを見たとき、「ああ、やっぱりそういう流れになるよね」と腑に落ちる自分がいました。
購入する側が本当に求めているものと、大量生産されるAI素材との間にズレが生じていたのは、私自身も様子を見ながらうすうす感じていたからです。
というわけで、PIXTAでの販売プロジェクトはこれにて一旦終了!
ただ、せっかくこだわって作った100点のデータを死蔵させるのはもったいないので、次は「イラストAC」への移行を検討しています。
……とは言っても、正直なところまだ完全に踏ん切りがついているわけではありません。イラストACは「著作権が譲渡される」という規約もあるしPIXTA同様のことが起きるかな?とどうしても抵抗があって。まだ規約などもちゃんと調べ切れていないので、迷っている状態です。
でも、無料ダウンロードが中心のACならユーザーのハードルも下がりますし、純粋な「私の作ったデータは需要があるのか?」というマーケティングテストとして、割り切って出してみるのもありかな、と揺れているところです。
失敗ではなく、次に活きる「検証結果」
数字だけ見れば厳しい結果ですが、私自身はこのプロジェクトをやってよかったと思っています。
Illustratorのスキルは確実に上がったし、「ストック素材市場の仕組み」や「自分のこだわりと実際の需要のズレ」を肌で感じられたのは、大きな収穫でした。今のディレクション業務や、今後手掛ける制作などにも、この「検証結果」は必ず活きるはずです。
今後は、イラストACへの移行をもう少し検討しつつ、また次の面白い企みを探していこうと思います!

