フリーランスを派遣縛りに!偽装請負のリアル体験談

【契約の罠】ハンコと閉じ込められた自由

派遣として働いた後、同じ派遣先と業務委託契約を結び、在宅リモートワークをしていたWebデザイナーのなべっちです。

最初の2年間は順調だったリモートワークでしたが、当初のWeb担当責任者が転職したことで、私の働き方は徐々に、しかし確実に変化していきました。

業務委託(フリーランス)でありながら、まるで派遣社員や正社員のように細かく時間やタスクを管理され、時間外労働を強いられる――。この働き方は、**「偽装請負」**ではないかと強い疑問を抱くことになりました。

今回は、私がフリーランスとして経験した「時間縛り」の実態と、なぜそれが危険なのか、そしてどう対応したかを包み隠さずお話しします。

リモートワークを蝕んだ「時間縛り」の始まり

ライフワークに変化がやってきたのは、新しい責任者に変わってからです。

当初は私の提案で始めた「朝会」でしたが、いつの間にか日報のようになってしまいました。さらに、以下のような業務委託ではあり得ない指示が増えていきました。

  • タスクの進捗状況や達成度を日単位ベースで細かく書かされる。
  • 本来こちらに裁量があったはずの「対応方法」や「納期」について、勝手にマイルストーンを置かれ、それに合わせて仕上げるよう指示される。

無茶振り案件で露呈した「指揮命令」の実態

最初の長期案件はなんとか対応できましたが、2回目の案件は、業務委託の概念を完全に無視した「無茶振り」でした。

その時の責任者チームはWeb制作経験のない営業上がりやWeb歴の浅いエンジニアのみ。当然、彼らには正確な工数やクオリティは読めません。

  1. 「無理とは言わず工数を出して欲しい!」と要求され、仕方なく工数を見せると…
  2. 「もっと細かく書いて!そんなに日数かかるの?」とダメ出し。

私からすれば、自分たちの社員で制作させてみろよ!倍は時間かかるしクオリティも下がるはず、と思っていました。

最終的には、お客様側の視点は完全に無視した提供者側にとて使いやすい手書きのラフ案でレイアウト・コーディングを命じられ、夜間の延長作業で何とか期日に間に合わせましたが、その時の不満は頂点に達しました。

「時給1,500円」の従業員扱いに耐えられない

このやり方が毎回続くと思うと、全然おもしろくありませんでした。

業務委託としてのおかしな扱い現場のリアルな評価
今までUIデザインしてきたのに、「とにかく作れ」と利用者には使いづらいデザインを渡される。専門性への尊重がない。
きつきつにスケジュールを組まれ、発注者側から工数管理される。まるで従業員扱いで、裁量権がない。
作業が遅れたらその分私の責任で単価が下がっていく。委任契約(成果で報酬が決まる)の原則から逸脱。

この状態を時給換算すると1,500円程度です。派遣社員だった時なら、社会保険や教育割引などがついて、もっと高い時給だったはず。報酬面からいっても、業務内容からいっても、まったく折り合いがつきませんでした。

【警告】フリーランスが知っておくべき「偽装請負」

2回目の無茶振り案件を機に、3年間続けた業務委託契約は終了とさせてもらいました。

ほんとうはトラブルが面倒だったので教えたくはなかったのですが、次の犠牲者が出てはまずいと思い、関係者たちへは法律関連のサイトを貼り付けて送りました。
(Skypeの履歴やBacklogなどデジタル書面が残っているため、訴えることもできる状況でした。)

私のような被害者を出さないためにも、フリーランスは以下の「偽装請負」の定義を知っておくべきです。

偽装請負の代表的なパターン

請負と言いながら、発注者が業務の細かい指示を労働者に出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりしています。偽装請負によく見られるパターンです。

引用元: 東京労働局「あなたの使用者はだれですか?偽装請負ってナニ?」

まとめ:業務委託は「対等なパートナーシップ」である

業務委託契約は、発注者と受注者が対等なパートナーとして、成果物に対して責任を持つ形態です。

時間や方法を細かく管理され、従業員のように扱われた時点で、それはもはや業務委託ではありません。自由な働き方を実現するためにも、契約書の内容はもちろん、日々の業務で「指揮命令を受けていないか」を常に意識することが重要です。

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