週末に観光タクシーで長崎・隠れキリシタンの里「黒崎・出津・大野など外海」を巡りました。今回お願いした観光タクシーは、長崎観光タクシー専門 光富個人タクシー 外海コースです。
隠れキリシタン「外海 祈りの岩」
長崎空港から車で走ること1時間半、黒崎教会の手前で曲がり山の中を走っていくと枯松神社の参道があります。
参道付近で車を停め、山の中を歩くと大きな岩「祈りの岩」があるのですが、ここでは禁教令が出されキリスト教信者への取り締まりが一層厳しくなった時代、外海地区の多くの信徒たちが潜伏して信仰を保ち続け、岩陰でオラショ(祈り)を唱え伝承してきました。
秘密の小石
少し歩くと小石が積まれ苔むした平たい石があります。これはキリシタンの墓碑で、祈るとき小石を十字架の形に置いて拝み、去る時はまた見つからないようバラバラに崩して帰るそうです。知らない人が見たら墓碑と思わずただの石が転がっているようにしか見えないから、ここに来る際は注意が必要ですね。
サン・ジワン神父を祀った枯松神社
「祈りの岩」から少し登ったところにあるにある「枯松神社」は、日本人指導者バスチャンの師、サン・ジワン神父を祀った神社で、キリスト信仰のカモフラージュとして建てられたものです。
枯松神社って神社とキリスト2つを併せ持った多神教の宗教施設。
日本独特で興味深いわ。
隠された祭壇
神社の中に入らせてもらったんですが、ここには「サン・ジワン枯松神社」と刻まれた祭壇があります。この祭壇にはカラクリがあって、扉を締めると「月・陽・雲・十字架の絵」が現れるんです。
ん?神社に十字架?
そうやってでもキリスト信仰を守りたかった当時の人達の苦労は大変なものだったに違いありません。
丘の上に立つ黒崎教会
枯松神社からすぐのところにある丘の上に立つ黒崎教会は、ド・ロ神父の指導で敷地が造成され、遠藤周作の小説「沈黙」の舞台になったところでもありあます。
フランス積みでレンガを積み上げ造られた大きな教会は、子供までがひとつひとつ煉瓦運びに奉仕して、信徒たちも含め苦難の末に完成しました。中はゴシック様式で、ステンドグラスの鮮やかな光が燦々と差し込み美しいです。
黒崎教会から車で5分の場所に長崎市遠藤周作文学館があり、先にそこを立ち寄ってから行くとより理解がより深まりまるのでオススメ。
重要文化財 出津教会
さらに海を眺めながら走らせると、海岸に面し風の強い立地条件を配慮した低い屋根に漆喰塗りの白い壁、木造平屋の出津教会が見えてきます。丁度お昼に到着したのですが、奥にある鐘塔からずっと鐘が鳴り響いていました。鐘塔がある教会って珍しいですね。
ここ出津教会はド・ロ神父の設計施工で建てられたもので、外国人神父の設計による初期教会として、2011年に国の重要文化財に指定されました。
ド・ロ神父は貧しい人々の救済のため、外海地方の産業・社会福祉・土木・建築・医療・教育文化などに奉仕し、女性の就労支援に着手して偉大な業績を上げています。
神父がフランスで使ってた道具を思い出し設計させて作らせた道具や助産婦養成用の人体模型、メリヤス編機にソーメン・マカロニ製造用具など、様々なものがド・ロ神父記念館では展示されているので出津教会と合わせて是非。
ド・ロ神父の設計 大野教会
最後はド・ロ神父の設計と指導により建てられた平屋建、瓦葺きの大野教会です。事前予約して担当の方に来てもらい、詳しくこの地について聞くことが出来ました。中は昔の木造学校のような感じとなっています。
山の中にひっそりと建つ大野教会には海を背にマリア様がそびえ立っていて、柔らかな表情が印象的でした。
現在「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」としてユネスコに推薦書が出されており、この大野教会堂も含まれています。近いうちに世界遺産となるかもしれません。
2019年10月追記
※ 2018年6月30日に世界遺産登録が決定しました。